2024.6.21レポート
【セミナーレポート】カリーファンド出資先第1号報告会を行いました
6月14日、カリーファンドの出資先第1号となった株式会社WALLTECHの報告会ならびに、出資者の皆さま等との親睦会を開催しました。
プレスリリース:株式会社うむさんラボが運営するカリーインパクト&イノベーション1号投資事業有限責任組合、第1号案件として廃棄資源から繊維パネルとアート壁をつくるWALLTECHへ出資
オープニングでは、ファンドマネージャーの大西より、ファンドの近況、WALLTECH社のアップサイクル技術や長谷場社長の熱意等を評価して出資を決定した経緯、沖縄公庫との協調支援の意義について話され、開会しました。
続いて、株式会社WALLTECHの事業紹介では長谷場社長より、廃棄される衣料品の大半は複数の素材で作られているためリサイクルが難しいこと、県内では年間約1,000トンの農業用廃プラスチックが埋め立て・焼却されているという課題に関する説明の後、これらを組み合わせてデザイン性の高い家具や小物を作る「繊維パネル」事業や「アート壁」事業が紹介されました。
WALLTECH社の独自技術により、一般的なリサイクル過程で必要な廃棄生地を一度わた状に戻す工程を省略でき、大幅なコスト削減と廃棄物のアップサイクル促進を実現できます。
最後に、環境面のインパクトやアーティストの活躍の場を増やすビジョンが説明され、このモデルを世界展開していく構想も共有されました。
事業内容とロジックモデルについて説明するWALLTECH長谷場代表
トークセッションでは、長谷場さん、当ファンド投資委員の照沼、インパクトパートナーである社会変革推進財団(SIIF)の田立さんが、それぞれの立場から今回の投資検討過程について話し合いました。
ベンチャーキャピタルに長らく在籍している照沼から「今回のロジックモデルはかなり緻密に作った。会社立ち上げ時のビジネスモデルは上場時には跡形も無かったりするけど、ロジックモデルのベースは大きく変わることは無いのでは」といった話がありました。
田立さんからは「アーティストの活躍の場が少ないことが社会課題と言える有効なエビデンスが見つけづらく、当初はアートをアウトカムに入れない案があった」と話があり、長谷場さんから「アート要素を外したら、WALLTECHではなくなってしまう」と主張、それぞれの立場からインパクト創出への道のりが語られました。
このようにして作られたロジックモデルは、作ることが目的ではなく、事業運営の長い道のりの中で、経営の指標や理想の社会づくりに活用すること(IMM:インパクト測定・マネジメント)が重要であるという点が改めて伝えられ、セッションは終了しました。
左からWALLTECH長谷場代表、投資委員・照沼、社会変革推進財団の田立さん
続くショートセッションは、社会変革推進財団(SIIF)の紺野さんによる『地域と、インパクトを意識した経営』です。
紺野さんから「企業が地域に貢献している理想像は、どのような姿か」といった問いかけに、参加した県内企業から「若い人が、かっこいい・就職したいと思える場を県内に作れる企業」といった回答などが挙がりました。
このような理想像や、WALLTECHがもつ理想像をふくめ「地域をこの理想像に変えていく」という意思を持つ企業や経営者を支援・議論することが、地域を変えていくとの話に、会場の熱が上がるのを感じました。
社会変革推進財団(SIIF)の紺野さんによるセッション
全てのセッションを終え、分かち合いの時間では、参加した出資者から「県内関係者の皆さんと、県内の課題や解決法をディスカッションしたい」「自分たちの事業をどのように指標にしたらいいか悩む」といったコメントがあり、オブザーバーとして参加していた行政職員からは「行政として何ができるか考えたい」とそれぞれが課題に向き合っていることが感じられるコメントが続きました。
クロージングでは、大西からファンドの今後の見通しが語られ、比屋根から「沖縄21世紀ビジョンの実現に向け、みんなで同じ方向を見て力を合わせていきたい」というメッセージをお伝えし、会は終了しました。
その後の親睦会では、3人の起業家によるプレゼンテーションもあり、様々な想いを持った参加者が和気あいあいと意見を交わし、WALLTECH社の製品を手に取りながら出資者が長谷場代表から直接解説を聞くなど、それぞれの想いや言葉が交わされ親睦が深まる時間となりました。
うむさんラボは、これからも共に学び、繋がりが深まる場作りを発展させながら、起業家の発掘・育成、セクターを超えた支援連携を推進し、生み出されたインパクトが最大化される共創の仕組みを目指します。引き続き、どうぞよろしくお願いします!